kaku-butsu(カクブツ)から見る、マーケティングの落とし穴。

本日は直接的にデリヘル経営とは関係ありません。しかしデリヘルの作り方、サービス内容の発想法、という部分ではめちゃ参考になる話です。
首都圏で経営されている方はご存知かと思われますが、口コミを活用し、ランキングにする『kaku-butsu』という風俗情報サイトがあります。
運営元は、あの大手AV会社『ソフト・オン・デマンド』。
調査員を育成し、媒体側が自腹を切って資金を提供。そして店舗を覆面調査する。といった謳い文句。なんと調査費用は1億円突破らしいです。

■kaku-butsu(カクブツ)
■媒体側が調査費用を自腹で捻出
■ソフト・オン・デマンドが運営
■http://fuzoku.sod.co.jp/
ビジネスモデル的にいえば、好きで細々とながらも本気で運営したり、個人ブログのように楽しみで運営していき、結果的に広告収入を得る、みたいな感じならアリだと思う。
しかしですよ。調査費用を負担し、社員に給料を払い、そして利益まで出していこうとか・・・
無理でしょ(笑)
それができないからDeNAが適当な記事で儲けようとしたわけです。雑誌の衰退からの廃刊だってそう。
現在はピンサロ研究会や食べログみたいに、勝手に投稿させて勝手に記事を作る。そして広告だけ入れて運営していく流れだったのに、ぐるりと一周回って自分たちで記事を作るとか、雑誌の時代に戻るのか・・みたいな話です。
まぁ本当に自腹かどうか、こちらでは真偽を確かめられないのでどちらでもいいのですが、『kaku-butsu』から見るマーケティングの落とし穴を説明していこうと思います。
合理性を考え過ぎたカクブツ

ビジネスではリスクとリターンを考えます。
そして何より成功確率を高める為にマーケティングがあります。いわゆる市場の声を聞いて、勝率の高い戦略を採用するわけですね。
わたくしも活用しますし、『kaku-butsu』だって活用している(はず)。口コミは需要がありますし、数値だけで攻めても人は動かないので、ランキングにしている。また『ソフト・オン・デマンド』ブランドもある。
なるほど、確かにランキングもブランドも日本人は大好きです。
自腹を切って調べる、覆面調査団が細かくチェック、風俗健全化、というストーリーも非常に素晴らしい。
ストーリーが良く出来ているメリットは、信頼が増し、さらにはコンビニのおかずも綺麗なお皿に盛って高級レストランで出てきたら『美味しそう』と感じるプレセボ効果みたいなもの。
サイトだってちゃんと設計されている。PC版では『口コミをじっくり見たい』客向けに。スマホ版では『今すぐ風俗店を利用したい』客向けのUIです。
でもどうしてだろう・・・
マーケティングを駆使して作っているはずなのに、魅力を感じない。他の口コミサイトと同じように見えてしまう。そしてもし、このサイトを『ソフト・オン・デマンド』の創業者、高橋がなりが見たら何というだろうか・・
答えはノー!!
だと思いますよ。たぶん。ビジネスにおいて、マーケティングを駆使したり、合理的であることと、人々が魅了されることは全く別物です。
いくら教科書通りの攻め方をしても、合理性を無視し『ぶっ飛んだ』相手に負かされることが多々あるのがビジネスの難しさ。
だからこそ『ソフト・オン・デマンド』が成功したわけで、ペナルティエリアの中でもパスをしてしまう日本人の悪い癖を取っ払い、とても決めることができないような場所から強引にシュートを打ったのが高橋がなりです。
高橋がなりという狂者

ドラマでも小説でも漫画でも、売れるモノとは『人々が読みたいと思うもの』が書かれています。
たとえばセーラームーンでは心理学的要素を追求して、回を重ねるごとに登場人物が増やすことで、視聴者が自らの姿を投影できる対象を増やしていくマーケティング手法。
また、わたくしみたいな知名度が低い凡人が読み手のことを無視し、自分の好きなことだけ書いては読者はつきません。一言で言うなら、校長先生の月曜日の朝礼の話を毎週楽しみに聞けるかどうかです。
ところが手塚治虫みたいな天才や、高橋がなりみたいな狂者は別です。
『ソフト・オン・デマンド』が一気に市場を制したのは、ある意味嫌な奴で傲慢な独裁者の高橋がなりが、自分のこだわりで自分が面白いと思うものを徹底的に作った企画AVでした。
そこにはマーケティングにより需要に合わせる、という発想が全くない。『これが俺のAVだ』と傲慢に押し付けるだけ。
しかし男達はそれに魅了された。
わたくしがいち早く抜きのないメンズエステを作ったきっかけも、『抜けないAVを作れ!』という高橋がなりの考えをありがたく頂戴したからです。敢えて生殺しにされたい層って存在するんだなぁ、と分かりました。
もちろんマーケットを無視するというのは、神風特攻隊みたいな手法。確率で考えれば最悪。もしAIに予想してもらえば、答えは『No』でしょう。だから経営者の動物的感覚で未来を想像するしかないのです。
マーケティングの落とし穴

風俗店がマーケティングを駆使すれば、失敗しにくいデリヘルが作れます。失敗して死ぬわけじゃないとしても、やはり誰だって失敗したくありません。
しかしマーケティングだけでは、人々を魅了できない『落とし穴』もあります。近いうちに伸び悩む時期が来るのです。最小限のリスクだけ取っていると、ハイリターンは厳しくなるのです。
優等生になってしまった『kaku-butsu』が、どうしても物足りないと感じるのはそこです。これなら熱心な個人ブログの体験記事の方が面白い。
世の中にはマーケティング理論の発達とともに、アンケート調査が溢れかえっています。需要に合わせようと、きめ細かなサービス戦略を練るデリヘルもあります。他店のいいとこ取りで作ったデリヘルもあるでしょう。しかし、こういったものでは・・・
大衆の心は掴めません。
高橋がなりは素晴らしい名言を残してます。『なんで常識に従うんだ』『この世界は、人と同じことをしていては商売にならない』。kaku-butsuを運営されている皆様、今一度、創業者の考え方を見つめ直してはいかがでしょうか。今のままでは、他媒体のいいとこ取りをしているだけに見えます。
ではどうすれば良かったのか、批判だけでなく代案も考えてみます。
風俗健全化を謳うなら、他力本願ではなくまずは自ら頑張りましょう。自社で抱えるAV女優さんを広告掲載しているデリヘルに1日送り込んで、ユーザーに食べ比べさせる。(AV女優と風俗嬢はどちらが得点が高いのか?)
調査費なんて出さなくても、面白そうな企画であれば絶対食いついてくるお客はいる。喜んで金も払う。仮にAV女優が勝ったとしても、それはそれで評価を見ているユーザーは楽しめる。ユーザーが増えれば広告掲載だって増える。
創業者のように、他社に出来ないことをkaku-butsuに期待しているのです。
風俗店の皆様につきましては、kaku-butsuへの広告出稿を『やめておけ』という意味ではありません。ヘブンだろうが、ぴゅあらばだろうが、メジャーな媒体への広告掲載は全て合理的で正しいからです。
問題があるとすれば、広告の見せ方だったり、kaku-butsuのように根本的な店作りです。どんなに広告費を注込んでも商品がダメなら売れないように、媒体が素晴らしくても店がダメだと集客できるはずがありませんよね。
ちなみに自分の作った店を調べてみると、地域で70位でした。血の滲む努力で作った店がななじゅうい・・ですぜ。広告を出さないデメリットとは、こんなにも非情だということが分かります(笑)
本日の格言
伸びる人間というのは無意識のうちにリスクを背負いたがるんです。本人にはそういうつもりはないけど、無意識のうちにリスクのある方に進むんです。そういう人間は小さなミスをたくさんできるんです。 -高橋がなり-
需要はググって見つかるものではありません。
— 福崎小太郎 (@kotarofukuzaki) 2017年8月11日
「感じる」のです。