給料を決めるには何が正解なんだろう?(答:どうやっても社員は納得しない)

経営者は悩みます。
いくら給料を払えばいいのか・・。
どうやったら部下のモチベーションを上げられるのか・・。
キャストさんの給料を考えてみましょう。
指名を取れば給料アップ。写メ日記を更新させるために『ポイント制』にしよう、などがあります。ところが上った場合はいいけれど、下った時にヤル気を維持させるのは極めて難しい。
男より女子は『下がる』部分に敏感です。損失を極端に嫌うからです。
さらにいえば、女子は給料表の最高金額を見るのではなく、一番下の最低金額を気にします。最低どれだけ貰えるのかを重視するのです。
では男性スタッフの場合はどうでしょうか。
日本以外の世界では、個人の能力や業績によって金額を変えるのが当たり前です。明確な昇進システムを構築して、数字で表せない部分は専門マネージャーが判断する。
ところが一言で能力や業績に対して給料を出すといっても、正しく評価することは容易ではありません。そして決まった金額で社員が納得するか、というとそんなことはなく・・
ほぼ全員が不満を抱えます。
マネックス証券を創った松本大さんは、ソロモン・ブラザーズで働いていた時に、『お前は頑張ったから同期よりもたくさんボーナスを出した』と上司に言われますが、後で、新人のボーナスが全部同じだったことを知り、上司を信用することができなくなって会社を辞めました。
『私の仕事術』松本大 http://amzn.to/1KmFMuF
また給料を『投資の理論』で考える経営者は、給料を投資とみているので、給料以上に稼いでくれた分は自分のポケットに仕舞うだけ。投資ですから売上げに貢献してくれる社員でも給料を上げることはありません。
なるほど、少ない金額で多く稼ぐ合理的な手段ですから、『投資の理論』を否定はしません。それで長く働かせることは難しいとは思いますが、どんな形にしても社員全員が満足することがないのも事実。
給料を上げてモチベーションが上がるのはせいぜい2カ月程度。人間は誰しもありがたみを忘れるので仕方ありません。
お金だけで人は満足するのか?

社会心理学者のレオン・フェスティンガー博士は、人間心理の驚くべき性質を実験により証明したことで脚光を浴びました。
従業員は労働条件が過酷で、安い賃金ほど、その労働に対して満足しやすいということを証明したのです。
博士は、複数の学生のグループに単純作業をさせました。その作業の感想を聞くと、全員が『つまらない』と回答しました。
その後、ひとつの学生のグループには高い賃金を与え、別のグループには非常に安い賃金を与え、同じ作業を続けさせたのです。
すると、どうしたことでしょう。
高額賃金のグループは、依然として『つまらない』と仕事を評価していたのですが、低額賃金のグループは多くの学生は
作業が面白い!!
と評価を変えたのです。だから経営者は悩んでしまう。1本辺りの単価は高くても、暇疲れが嫌で辞めていくキャスト。長年勤めてそこそこ給料を出しても辞めてしまう店長。
それとは逆に、立ち上げ初期の稼げない時期に支えてくれたキャスト。稼ぐ金額を考えれば、大手デリヘル店で働いた方が合理的なのに、稼げなくて出勤してくれる女子がいます。
どうして稼げなくても店を支えてくれたのか。そのキャストさんには給料以上の何かがあって・・・
『私がいなくなると潰れる!』
『私がこの店を支えなくちゃ!』
みたいな責任感を勝手に持ってくれた感じでしょうか。必ずしも人はお金だけで行動するようになっていません。時として人間は得られるものが少ない方を満足する。献身的になろうとする心理状態になる。
もちろん長期的には続きません。自分の生活がありますからね。ここで申し上げたいのは、お金だけではなく、報酬とモチベーションを維持する
何かとのバランスが大事
です。その何かは個別になり、共通するものはございません。個人の言動を観察して、モチベーションを維持する何かを提示する。こちらは経営者の役目。
経営者はスタッフやキャストに飯を食わせていくことですが、だからといって報酬金額を考えたらキリがありません。わたくしが『お金じゃない部分も忘れないようにしましょうね・・』と口酸っぱく申し上げる理由はここ。
ただし、お金に釣られるという心理は多いです。
風俗大手は初任給を高く設定し、人材を集めます。将来的には上の役職が詰まっていて賃金が上がりにくく、長い目で見たら損をする可能性もありますが、1年後の20万円より明日の10万円を人は欲しがります。
人はお金だけでもないし、
だからといえ、少額では応募がない。
経営者は場面に応じて適切な判断を要求されます。だから組織は難しい。上に立つ者は大変です。
年功序列か能力主義か

日本の企業風土では、年功序列で自動的に給料が決まります。誰しも『そんなもんだ』と納得しており、不満もありません。
能力を給料として与えずに、頑張っている人にやりがいのある仕事を与えたり、地位を与えます。またダメな人を左遷したりして差を付けるシステムです。
ところが風俗の場合、スピード勝負の一面があるので、個人の能力に依存します。たった1人の優秀な店長が辞めると、とたんに落ちぶれてしまうこともあります。
さらには、風俗はアンダーグランドの世界です。若い時は興味本位で入って来ても、30歳を過ぎると地元に帰っていくパターンも多い。
風俗は長い目でじっくり育てられる商売ではありません。
業界を大きな視点で見ると、一部の出来る人たちに多くの凡人がぶら下がる状態です。こうした分野では年功序列は不向きでしょう。
もちろんいくら出来る人でも、長期間1人で運営続けられません。雑務をこなしてくれる人材も必要です。そして皆に出世願望があるわけでもなく、そこそこの給料でのんびり勤めたいタイプもいます。
出来る社員も育てたいし、仕事が出来なくても人手が必要だったりもする。経営者として悩ましいところですが、仕事が出来る1割の人間には個人主義がいいのかもしれませんね。
これから経営者になりたい御方、これから大手を目指したい経営者さん。風俗で働く男たるもの、女の2、3人くらい同時に幸せにして当たり前です。
そして女の子に逃げられないように将来の期待を持たせつつコントロールしていくことが、マネジメントの資質を鍛える訓練になります。
将来、大企業を率いていく訓練だと思って頑張って下さい!
本日のつぶやき
何が正解なのか、自分でもよく分かりません。はい。
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