他業種から学ぶ安売りの考え方

経営者は安売りを嫌います。安売り否定も多いです。
東京で高単価を設定するなら、品川周辺は有利ですよね。わたくしなんて『単価も低いし客層も悪いブクロで、よくやってられますねぇ』なんて言われておりますが、おっしゃる通り、品川ブランドは高く売れやすい。
高単価を狙うなら、地域を選択して顧客単価を上げることは選択肢の1つ。それ以外で安売りしない方法といえば、
1つ目は『キャストの質』を上げること。口では何とでも言えますね。すみません。そんな簡単に美人が来てくれるなら苦労しないわ。
2つ目は『若い子をめちゃくちゃに出来る店』。ただし問題は『うちのキャストにそんなことさせられない』『そんな客層はいらない』と、商売よりも感情論が発生しやすい部分ですよね。
うーん、どうでしょう。
やっぱり単価を上げて金持ち客から儲けるのは大変です。逆にいうと、だからこそ儲かるわけですが、ここまでするより安さを求めるターゲットを狙う方が楽ちんだと思っちゃうんですよね。
安さを求めるお客は、料金しか選択肢がありません。そして絶対数が多いので、目先の回転が見込みやすくなる。
だから割引き合戦が行われる。
割引きが悪いとはいえません。安くすれば集客できる、ということは、お客にとって価格がお得に感じているかもしれない。または、今までが割高とマーケットが判断している場合があります。
差別化が出来なければ、唯一定量化できるのが価格。
安すぎると裏を考えますが、相場より3割引きであれば『おぉ、安い!』と感じるでしょう。
そもそもビジネスの競争って、良質な物やサービスを安く提供できる会社が生き残りますよね。そして他が抹殺されていくことで、社会が良くなっていきます。
価格破壊は業界のためによくない、といわれがちですが、もっと大きな視点でいうと安売りは悪ではありません。
ただし問題は・・
どこまで安売りを続ければいいのか?
ということですね。個人経営のデリヘルは、固定費が少ないので価格を下げやすい。しかしいつまで経っても従業員は雇えないし、大きな広告も打てないので、規模を拡大できない。
従業員を抱えるデリヘルは、独占状態を作れるなら安売りする価値があるかもしれない。しかし固定費が高いので薄利に耐えきれず、結局はアクセルとブレーキを同時に踏むことになりがち。
人間って傍から見る分には客観的に捉えることが出来ます。ところがいざ自分のことになると迷走してしまう。
そこで今回は、安売りをふまえた経営戦略を、他業種を参考にしながら考えていきます。ビジネスモデルは違いますが、客観的に捉える訓練だと思って下さい。
他業種を参考にする

自動車業界を参考にするには前提があります。
カローラなんて200万円で新車が買えます。どうして価格が安いのか。大量生産が可能だからです。
【トヨタ】
マーケティングが上手く、市場を作ることが得意。たまに迷走しつつも、安心感って強いんだなぁと。個人的に注目している点は、業界の雄であり、レクサスなんて殿様営業っぽく見えますが、自動車が売れなくなる時代が来るんじゃないか・・って常に危機感を持っているところ。安売りはしないけど、売れなくなった時代が来た時にどう生き残るか、みたいな。
【ホンダ】
利益率が低くても、とにかく車を作りたい、速い車を作りたい、車大好き!っていう無邪気な感じ。本田宗一郎の経営理念ですね。そりゃあ業界トップになりたいし、儲けたいけど、俺は風俗をこよなく愛しているんだから、飯が食える程度の利益が出れば良し!みたいな考え方が根底にあります。
【日産】
良い車を作る、売れる車を作る、トヨタを脅かすほどのポテンシャルはあったと思います。しかし昔から他社と競争する以上に身内の権力争いが大好き。傍から見るとバカだよなーと思いますが、個人的には気持ちは分かります。というか、身内の分裂は風俗でも珍しくないですし。
【マツダ】
頑張ればここまでやれるんだー!最近の成長っぷりは漫画レベル。逆にいうと、どっちつかずの経営方針がいかにダメだったか分かります。安売りしても販売台数が伸びなかったため、考え方を改め、圧倒的に少ない資金の状況で独自エンジンを作る。世界一の開発技術を持つ。そしていかにデザインが重要かを知らしめましたね。
【スバル】
販売台数では他社に劣ると自覚し、俺はスバルじゃなきゃダメだ!みたいなコアなファンを作ることが上手い。商売においても、常連を掴んでいるので利益率は悪くない。ここまでは弱者の戦略です。ところが経営陣と現場がちぐはぐしていて、たまにヘマする部分は昔から変わらず。
【スズキ】
他社とは製造の考え方が違うので、風俗的にいうとピンサロでしょうか。小型車専門。コスパ重視、薄利多売の典型モデル。国内3位の実績を考えれば、走れて安ければそれで良し、みたいなニーズは多いことが分かります。もちろんコスパだけではなく、女子視点で作られた『ラパン』みたいに、安価の中でもターゲットを絞っている。経営については、昔ながらのトップダウン方式が悪い方に出ている感じ。
【三菱】
やらかし具合は庶民から見てもビビるレベル。頭いい人が集まってもダメになる時もあるんだなぁ、信用の再構築って難しいなぁ、といった典型例。しかし注目すべき点は、日本ではダメだけど、東南アジアに強いこと。同じ商品、同じサービスで、このエリアではダメだったけど、違うエリアでは上手くいくかもしれない、またはその逆も。
売りが悪いわけではない

トヨタは業界の半分を牛耳っているわけですが、じゃあ安売りすれば業界を独占できるのか、といえば、話はそう単純ではありません。
巷でいわれる『安売りするな!』の意味は、利益が圧迫され、かつ、独占することも難しいからです。時間が狂わず、壊れない1000円のカシオの時計が、ロレックスを潰せるか、みたいな感じ。
では薄利商売のホンダ、スズキ、昔のマツダはどうでしょうか。
薄利でも経緯はそれぞれ違います。ホンダは車好きに愛されました。『フェラーリかホンダしか乗らない』という人もいます。走行性を大事にするというのは、マーケティングでいわれる『ものを売るのではなく、こと(経験)を売る』ことでしょうか。
軽自動車は特に薄利。その中でも価格が他を圧倒したことで、スズキは唯一無二の存在になりました。
薄利という部分で同じだったマツダは迷走します。安くしてもダメ。スペックを増やしてもダメ。キャンペーンで安くしてみたり、あれもこれもサービスを付け足したり、こういった部分は・・
風俗店でもありがちな迷走ですよね。
マツダの長期低迷を見ると、安売りしてしまった『印象』を払拭することがどれだけ大変か分かります。今秋、消費税がアップしますが、料金を上げるのは顧客心理と連動しているので難しいんですよね。
以上のことから考えると、単純に安売りが悪いわけではない。薄利でもホンダやスズキのような考え方もある。しかし迷走に繋がりやすい。後は社長自身の好みでしょうか。
評価は後世の人間が決める

お金のことばかり考えている人間は嫌われやすいので、『お金が全てじゃない!』『お金だけで幸せにはなれない!』という教えは、それなりに役に立っていると思います。
しかしお金で幸せになれる部分があるならば、大いに稼いだ方が得策です。
トヨタは利益を出している企業なので、従業員の福利厚生が整っている。入社から死ぬまでトヨタ系列で済ますことが出来る。スーパー、病院、マイホーム、子供の学校さえもトヨタ系。
こういった人生が素晴らしいかどうかは、賛否が分かれるでしょう。しかし利益の少ない中小企業は、社宅を提供するだけで大変です。
風俗店も同じだと思います。
自分が幸せになる、そして他人を幸せに出来るのはお金。まずはお金です。とにかく力を持つことに全力投球しましょう。安売りしようが、価格破壊だろうが、
将来の利益が大きくなる計算が立てばいいじゃないですか。
安売りで全く問題ありません。逆に安売り全否定みたいな思考は、固定観念を生むだけです。
今でこそ神様扱いの『本田宗一郎』は、作れもしない部品を大量受注し、不良品を作りまくりました。
今でこそ神様扱いの『スティーブン・ジョブズ』は、起業前にハッカー(犯罪)をして資金を集めました。
罪を犯してまで金を稼ぎましょう、と煽るわけではありません。ただ、成功するために取るべき手段は、今は評価されなくても、わたくし達が本田宗一郎を評価するように、評価の判断は後世の人達に任せればいいのではないでしょうか。
手間や時間を掛けることを「そんなの面倒くさくない?」と言って、スカウトや広告にバンバン金使い、ある意味、格安店と同じように薄利多売になりながらも成功し、ミシュランツアーとかやってる友人社長がいます。
— 福崎小太郎 (@kotarofukuzaki) 2019年4月17日
フランチャイズまで考えると、そっちの方が合理的かもしれませんねぇ。
本日の格言
安売りが悪いわけじゃない。ただし安売りするなら、将来の利益を増やせる明確な意図は欲しい。