何もしない経営戦略(物事の見方を変えてみる)

わたくし、色んな角度から物事を見ることが好きです。
人を疑って経営することは精神的コストが高く付きます。そして時に度量の小さい社長だと思われるので、部下を疑う経営を勧めるわけではありません。
しかし『疑う』という見方を変えてみましょう。
ある歌舞伎俳優の奥さんは、幼い子供を残し若くして旅立たれました。体調が悪化する一方で、医者の診断を疑うことなく信じている間に癌が転移し、手遅れになりました。
反対にデンジャラスクイーンで鬼嫁でも有名な女子プロレスラーは、人を疑い、時に人を裏切って女子プロの頂点に立ちました。
地力があるのはどちらの女性でしょうか。そして仮に上記2つの人生があるなら貴方はどちらの人生を選択するでしょうか。個々の考え方は置きますが、人を疑う、という意味だけでも色んな見方が出来ると思います。
若さは変革を起こす原動力

人間は過去の経験から物事を判断します。
わたくしの仕事であれば、今までの経験からこうしたらこうなる、こんな経営をするとこのような結果になる、という具合に高い確率で予測できます。
そして『いや、でも俺はこのやり方でやってみる!』と助言に耳を傾けてくれないお客さんだと『やっぱりダメでした・・』みたいな結果になります。
わたくしの助言に耳を傾けて欲しい、と偉そうなことを申したいのではありません。親や目上の人間の助言は正しいことが多くありますが、少なくとも自分自身が若いうちは人の意見に従う気はなかった。
『俺は天才だ!』『俺の方法で成功してみせる!』『風俗王になる!』と大口を叩けるのは若者の特権です。若者だからこそ許されるし、例え勘違い君だったとしても突き進む猛者がよっぽど魅力的。
周りの大人達からは鼻で笑われたり冷ややかな視線で見られがちですが、見方を変えてみましょう。
いつの時代も歴史を変えたのは大口を叩く若者
です。若いうちは失敗経験やしがらみが少ないので、万能感に満ち溢れています。怖いもの知らずです。また常識を超える行動が上手く噛み合えば変革を起こす原動力になったりする。
もちろん若いうちは大きな失敗も多くあります。己が失敗するだけでなく、他人にも迷惑を掛けます。風俗であれば経営に関する考え方や将来の見通しの甘さであっさり廃業する御方も多い。
ところが会社を大きく成長させた経営者は、20代でビジネスを起こされた御方が多くいます。才能があるだけではなく、自らを売り込む才能を持っていた。
そして若者だから出来た行動力が、プラスだろうがマイナスだろうが人の感情を揺さぶることで偉業を成し遂げたのかもしれません。
経験値の代償

40歳を過ぎると経験値が貯まり、世の中がなんかもう分かった感じになります。金儲け?やれるものならやってみろ、そんな簡単に上手くいくわけない、と。
わくしも40歳になりましたが、いい大人が大口叩くと恥ずかしいし、噛みつく牙は抜けちゃうし、風俗ってこんなもんだから・・と思うようになる。
足りるを知り、ほどほどを知り、成り上がりよりフレンチのマナーなんて品格を学ぶようになる。時計であればオーディマピゲではなく、グランドセイコーみたいな。
経験からの思考の変化はある意味で正しくあり、年を重ねて賢くなると尖った言動の危うさを予測できるようになるので、しなくてもよい失敗が少なくなります。
ただし経験値が悪い方向に出ることもあります。
何もしないことが敗因になったり、プラスだろうがマイナスだろうが人の感情を揺さぶる言動が出来なくなり、自然と大成功の道から遠のいていく。
自身の感情も揺れないのに、他人の感情を揺さぶれるはずがない
みたいな感じでしょうか。
年齢のせいにするわけではありませんが、傾向としては多くの御方が通る道だと思います。常識に沿った安パイだけの経営になってしまい、若者から老害扱いされる御方も出てきます。
性格の尖った男子スタッフには自由より規律を求めます。規律ある従業員教育は正しくありますし、司令官が『撤収!』を指示しているのに1人だけ突っ込んで行かれると組織として成り立ちませんからね。
反対に組織のスタイルに染めると新たな可能性の芽を潰すことに繋がるかもしれない。規律と創造が上手く噛み合うことは難しくある。
実際に男子従業員を応募しても、悪い意味で風俗業界にどっぷり浸かりスレた男達の方がずっと多いですよね。従業員教育1つ取っても見方を変えれば何が正しいのか難しいものです。
何もしない経営戦略

日本全体の風俗産業の伸びしろはもう少しあるかな、と個人的に思っておりますが、地域ごとに見ると成長が皆無な場所があります。
長期的に縮小していくだけのエリアです。
こういったエリアではいくら大口を叩いても、いくら挑戦的になっても、需要の縮小に勝てるはずがありません。
『新しいことをしたら負け!』
『これ以外してはいけない!』
『経費を削ることが何より大事!』
このような状況にどうしてもなります。そしてこのようなエリアは今後増えてくると思います。
自己啓発書が売れ、人々を鼓舞するツイートが拡散される。また投資をしないと金持ちになれない、というのは正しい一方、何もしないでじっと耐えればどうなるでしょうか。答えは撤退した店舗から残存者利益が入ります。
何かをしないといけない状況もあれば、何もしなかったことが生き残り戦略になることがある。
長期的に縮小していく地域ではイケイケ社長が先に潰れやすくなります。あえて一歩前に足を踏み出さないことが返って功を奏することもあるので、経営判断って難しいんですよね。
わたくしが色んな角度から物事を考えるようになったのは、分かりやすい理論に飛びついて痛い目にあって来たからです。
色んな角度で物事を考えることは決断を遅らせ優柔不断にもなりますが、偏りがちな見方を防ぐ効果があります。どうしても組織の中で活動していると物事の見方が偏りがちになりますからね。
経営判断にメリット・デメリットは付き物です。何か選択をする前は疑念を抱き反対意見も考えてもいいかもしれません。
本日の格言
自分ができると信じようと、できないと信じようと、どちらも正しい -ヘンリー・フォード-