インボイス制度が始まりますが、なぜ顧客は値上げを拒絶するのでしょうか?

価格の意思決定は経営者の重要な責務だと、私ではなく京セラの故稲森大先生が仰っておりました。
わたくし的には『売れるのであればいくら値付けをしても構わない派』ではございますが、口で言うほど単純なものではないことも知っております。
だって風俗店に限らず過去30年の日本を見ると、業界の雄になった会社って価格破壊を起こし、良い物を安く提供し、実質値下げで成長した企業なんだもん。
例外はディズニーランドくらい。値上げを繰り返しても顧客が離れないどころか顧客を増やし続けてきたって意味分からない。仮に理屈は理解できたとしても、そんな魔法のような手法を使えるか・・といえば激ムズです。
業界の雄は価格破壊によって生まれた

風俗店の過去を振り返っても同じです。相場を無視して価格破壊を起こした店舗が成長を続けました。高級店や値上げを繰り返した店舗もいらっしゃいますが、生き残れたのは全体から見たら少数派。
または現時点で生き残れていても、値上げによって成長が止まったり、下降線を辿っているデリヘルは多い。やはり価格の決定は経営を左右させ、
現実的に値下げ競争に勝った店舗が成長した
事実があるわけです。より良い品質を求め、価格を気にせず支払う顧客も一定数いますが、日本人って値上げに拒絶反応凄いじゃないですか。
それなのにインボイス制度が始り、値上げしなければジリ貧になっちゃうが、だからといって上手くいくかどうかなんて誰にも分からないし、そもそも値上げの正しいやり方も分からない。
顧客に値上げを拒絶されたら、ジリ貧どころか再起不能なほどダメージを負うことになるんですよね。一度離れた顧客が戻ってくる確率は相当低く、顧客が離れると、もうどうすることも出来ません。
ということで、本日1つだけ覚えて頂きたいことは、値上げを行う際は顧客離れを防ぐ為に顧客満足もセットにしましょうね、ということ。シンプルですが割と難しいので解説致します。
風俗相場の壁

顧客は1人ではありませんから、客層単位で考えてみましょう。値上げを拒絶する客層は、全体の7割を超えます。
・激安層
・ワガママ層
・相場層
------相場の壁------
・特定層
・高品質層
まずは『とくにかく安ければ構わない激安層』です。価格さえ安ければ文句言わないので、究極の薄利多売ですがある意味単純です。
次に『相場より安く、そこそこの品質も求める層』です。個人的にはこの客層の気持ちは分かるようになりましたが、店側とすれば最もワガママな顧客で、クレームも多いし客層は悪い。
次に『相場価格で構わないが、最低でも相場並みの価値を求める層』。支払う対価を正当に求めるわけですから、当たり前といえば当たり前です。
ここまで相場より少し安かったり、相場並みの価値を求める層が全体の7割以上を占めます。こちらの客層に向けて値上げしないといけない店舗がほとんど。これってキツくないですか?
基本的に日本人は値上げに敏感。さらには価格に敏感な客層を相手に消費税分のみ値上げだとしても厳しい感がある。だってそもそも価格にうるさい客層なんだもん。
現在の物価高の波に乗って値上げしても、上手くいくかどうかは本当にやってみないと分からない。もし仮に成功されたとしても、それは結果論。
ベストを尽くしても値上げを成功させられる確証はありません。
だって顧客の立場からすると、物価高とか関係ないですもん。経費が膨らみ今のままでは運営できません・・と顧客にペコペコ頭を下げても、その場では同情されても実際は1ミリも伝わらないでしょう。
なぜ顧客は値上げを拒絶するのか?

顧客には層があります。確かに安さだけを追求する層は多い。しかし顧客は何に対してもケチなわけではありません。
これからの寒い季節を迎えますので、一例を挙げます。
ユニクロのダウンは1万円で購入できるので、業績は拡大しました。安さ重視の顧客が多い証拠ですね。
ところがです。ユニクロの20倍の価格のモンクレールを欲しがる人々って多い。モンクレールの購入を考える客層は決して金持ちだけではありません。若者だって欲しいし、我々のような庶民でも頑張って働いて購入したいと考える。
本質的な顧客心理はココです。
頑張って働いて買いたいモノやサービスとは何か。一般的にダウンジャケットの相場は3万円程度でしょうか。人々が暖かさを求める為に支払える価格は3万円ということです。
ではモンクレールを欲しがる理由は何か。より暖かい、軽い、かっこいい、優越感、こういった何かしらの満足を得られるだろうと顧客は想像することで20万円の価値生まれる。
モンクレールが1万円値上げしても顧客は気にしません。あくまでも顧客が気にすることは値上げではなく、どれだけ満足できるかどうか。
例え1000円の値上げだったとしても、値上げされる場合は必ず顧客満足とセットにしなきゃいけない。セットを考えないから値上げを失敗するのです。
直接的な値上げを避ける手段

値上げ可能幅は商品によって異なります。
例えばシーチキンと大トロは同じマグロですが、価格設定が全く違います。大トロに1皿3000円出せても、シーチキンに1缶1000円出せる顧客はそう居ません。風俗店でも顧客が離れず値上げ可能幅は、ある程度決まっております。
ただし値上げしても売れるモノってシンプルな公式があり『価格<満足度』だけ考えれば間違いありません。
ところが実際に自分の店舗を客観視したり正当な値付けをするって難しい。わたくしは難しかった。自分の店はつい過大評価してしまい、満足度が高いはずだと実際の評価から目を背けてしまうので、つい自己満足の世界観になっちゃう。
また値上げには『顧客満足もセット』にしなきゃいけないのは分かったが、では顧客満足の基準って何なのよ?という部分です。
明確な基準があれば目指すべき最短距離を進めますが、満足度って顧客によって違います。敢えて申し上げれば、風俗店ではルックスやサービスですね。
わたくし達に出来る部分は、顧客満足に繋がるであろう部分を想像し強化する。ただし持って生まれた部分はカンタンに変えれませんし、創意工夫にも限界がある。その上でテクニックがあるならば、
値上げに見せない手法で値上げする
ぶっちゃげ客数を増やすより、客数が減らないことを前提にすれば価格を上げる方が利益率は増えます。
ただし日本人に向けて直接的な値上げはセクシーな方法ではありません。日本的な最適解は、価格は現状のままで新たに高単価のコースを作り、実質的値上げを行う。または高単価のデリを増やして将来的な利益を確保する。
大切なのは手段ではなく目的。最終的に利益率が増えれば良いわけです。
直接的な値上げを回避させ、そして最悪の状況に追い込まれることを回避する。どちらにせよ利益を再投資しないとジリ貧になるじゃないですか。上手くいくかは別として値上げしても顧客が離れないとこの共通点って、目先の利益にはならないような部分にまで投資してるんですよね。
本日のつぶやき
わたくしは性格なのか世代のせいか、最悪の状況を先に考えちゃうんですよね。